なんとうちの会社は、ボーナスが4回もあります!最高で8回にも登ります。ボーナスが8回なんて羨まし過ぎますよね?
でも、これにはからくりがあります。
ボーナスの回数を4回以上に増やすと、ボーナス分で天引きされるはずの社会保険料(厚生年金)の負担を抑制できるという年金制度を利用したものです。

給与とボーナスの社会保険料の負担
普通の企業は、ボーナス(賞与)として、2回が一般的です。夏と冬ですね。
通常、社会保険料は給与と賞与からそれぞれ引かれます。また、社会保険料は、健康保険と厚生年金保険の二種類あり、標準報酬月額が上がる程、つまり収入が上がるとどんどん上がっていきます。

出典:全国健康保険協会 平成28年度保険料額表(神奈川県)https://www.kyoukaikenpo.or.jp/~/media/Files/shared/hokenryouritu/h28/ippan10gatu/28091614kanagawa.pdf
会社勤めの場合には、労使折半となるため、あなたと会社の半々で保険料を支払う制度になっています。
(1)賞与についても健康保険・厚生年金保険の毎月の保険料と同率の保険料を納付することになっています。
引用:日本年金機構 http://www.nenkin.go.jp/service/kounen/hokenryo-kankei/hoshu/20141203.html
ボーナスでも給与と同じように上記社会保険料を納付しなければいけないということですね。
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ボーナス4回のとき
○対象となる賞与
賃金、給料、俸給、手当、賞与その他いかなる名称であるかを問わず、労働者が労働の対償として受けるもののうち、年3回以下の支給のものをいいます。なお、年4回以上支給されるものは標準報酬月額の対象とされ、また、労働の対償とみなされない結婚祝金等は、対象外です。
引用:日本年金機構 http://www.nenkin.go.jp/service/kounen/hokenryo-kankei/hoshu/20141203.html
賞与が4回以上の支払いが常に見込まれる場合には、その賞与は給与として扱われ、社会保険料を給与から支払います。
ここが肝になる部分です。
常に毎年4回以上の賞与がある場合は、”賞与”を”月額の給与”として計算しなさいということです。
一方、社会保険料には上限があり、厚生年金保険は、標準報酬月額が62万円で上限56,364円(労使折半後)に達します。健康保険料は、月額139万円で上限になります。

出典:全国健康保険協会 平成28年度保険料額表(神奈川県)https://www.kyoukaikenpo.or.jp/~/media/Files/shared/hokenryouritu/h28/ippan10gatu/28091614kanagawa.pdf
賞与が4回以上になると給与として計算しますから、標準報酬月額は4回の賞与分だけ増加しますね。この時、標準報酬月額62万円以上になった場合、社会保険料は上限を超えてしまいます。
上限を越えた部分は、支払わなくて良いという制度です。
したがって、上限である月62万円以上稼いでいる人は、それ以上いくら稼いでも社会保険料(厚生年金保険料)は上限の56,364円で頭打ち、それ以上払わなくて良いのです。
賞与分(賞与x料率)で支払っていた社会保険料分を節約できるというわけです。
ボーナスが高い場合
ボーナスが高い会社は、ボーナスを2回から4回に分けることで、賞与を給与として計算できるため、標準報酬月額を増やせることと、増えた標準報酬月額が上限以上となる場合には、社会保険料の支払いを抑制できる効果がありますよね。
年俸制の場合
年俸制の場合には、ボーナスといったものがないため、そもそもボーナス4回なんてありません。
給与は、年俸を12で割った金額が毎月支払われます。わたしは、このケースでした。
給与とは別に会社の業績によってはボーナスの支払いがありました。このボーナスは、非常に不安定で出るときもあれば、全く出ない時もあります。このままでは、毎年常に4回の賞与となりません。
そこで、会社は年俸を16ヶ月で割り、12ヶ月分を毎月の給与支払い、残り4ヶ月分を3ヶ月毎に分け(年4回)、賞与として年4回支払うこととしました。
こうすることで、年俸を1/12にした給与が62万円を超える場合には、会社の業績が良いときのボーナスや年俸の一部を年4回の賞与に変えた分(年俸 x 4/16)の社会保険料は支払わなくて良くなります。
毎月の給与から、厚生年金保険料の上限である56,364円のみ天引きされることになります。
賞与からは、厚生年金保険料は天引きされなくなります。
現に、私の4回の賞与や会社業績のボーナス(賞与)からは、厚生年金保険料は天引きされていません。これは、今まではこういった賞与、会社業績ボーナスの9%が厚生年金保険料として天引きされていましたので、これは、かなり大きな節約です。
まさに、今まで無駄な保険料を支払っていたという感覚ですね。
これは、会社側にとっても大きな節約になります。社会保険料は、労使折半で支払うものなので、会社側も同じ厚生年金保険料分を節約できるのです。
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ボーナスが高い人は大きなメリット
標準報酬月額が62万円を超えている人や賞与を給与に含めたとき標準報酬月額が62万円を超える人は、それ以上稼いでも上限以上の社会保険料(厚生年金保険料)を払わなくて良いという大きなメリットがあります。
一方で、健康保険の上限は標準報酬月額139万円まであるため、ボーナスを4回にすることで、健康保険側が上がってしまうことになります。
しかし、ボーナス2回で支払っていた社会保険料(厚生年金:折半負担約9.09%)の方が、健康保険料(折半負担5.78%)より相当大きいために、またボーナス4回にすることで上限以上の多額の社会保険料を支払わなくて済むというメリットから、保険料負担を大きく軽減することができるのです。
標準報酬月額62万円(年収744万円以上)の人にメリット
62万円x12ヶ月=744万円の年収以上となる人は、常にボーナスが4回以上見込まれる場合には、この制度のメリットを受けることができます。
ただ、この制度を享受するためには、常にボーナス4回が見込まれる必要があるため、会社の社内規則の変更などが必要となるようで、会社側の給与の支払い規則が変更にならないとどうにもにもなりません。
厚生年金の受け取りが減らない?
このようにボーナスを4回以上とすることで、厚生年金保険料を節約することになるけども、「将来の受け取ることができる年金は減るのでは?」と思う人もいるでしょう。
でも、そもそも厚生年金保険料の上限を払うことになるので、それ以下の保険料にする訳ではないので、将来の保険料も変わらないんです。
サラリーマンにとって社会保険料の節約は数少ない節約方法
サラリーマンにとって節税すると言っても、あまり節税手法がありません。このボーナス4回とすることで、会社側の保険料負担を節約できることと、従業員の保険料負担を節約することになり、会社と従業員のウィンウィンになります。
このことから、会社の社内規則をボーナス4回以上に変更することは、比較的容易に実現できる可能性があります。
ただし、私のケースのように、年棒制の場合で年棒を1/16にするケースでは、月々の給与額が3/4になってしまうため、見かけ上給与が減ってしまいます。一部の社員はこのことに対して懸念を抱く者も少なくはありません。
年棒 x 4/16の賞与に回った分は、3ヶ月に1回支給されるので、私にとってはちょっと我慢すれば済む話でした。
結果的に、サラリーマンにとって見ると、数少ない節約方法のうちの1つなので、是非、会社経営者には一度考慮して頂きたい節約方法です。
転職も考えてみる
年収が比較的高い人は、節税ならぬ節社会保険料になります。社会保険料はある年収からは頭打ちでそれ以上払わなくて良いものを、ボーナスの約9%を毎回支払っている訳ですから。その分大きな節約になります。
だからと言って、将来受け取る年金額に差はありません。
業種にもよりますが、年100万円のボーナスを受け取っていれば、9万円x2=18万円です。200万円のボーナスを2回貰っている人は、36万円です。
平気で4kのテレビが買えてしまいます。または、家族と旅行も行けますね。
この他、一時賞与などもある人は、かなりの額になります。
今の会社がこの制度を利用していないのであれば、転職を考えて見ても良いかもしれませんね。でも、実際に働いて見ないとこの制度を利用しているかどうかわからないと行った場合には、キャリコネさんに登録して10万件の口コミから確認してみると効果的です。
面接などではこのような質問はなかなかできないので、キャリコネさんのような転職エージェントを選んでみるのも一案です。
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まとめ
ボーナスが4回出る会社は、社会保険料(厚生年金保険料)の負担を大きく軽減することができます。ボーナス4回が常に見込まれる場合には、賞与を給与扱いで社会保険料の計算を行います。このため、賞与で負担していた社会保険料(厚生年金保険料)は、支払わなくてよくなり、大きく負担を軽減することができます。
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